This article has been translated from English to Japanese.
ADPの全国雇用報告によると、米国の民間部門は11月に3万2000人の雇用を削減した。これは2023年春以来の最大の月間減少幅であり、経済学者が予想していた1万5000人の増加を大きく下回る結果となった。
この失望的な数字は、連邦準備制度理事会(FRB)の12月の政策会合を控えて、労働市場の悪化に対する懸念が高まっていることを裏付けている。
主なポイント
- 民間部門の雇用は11月に3万2000人減少した。予想は1万5000人の増加だった。10月の数値は4万2000人から4万7000人に上方修正された。
- 減少を主導したのは中小企業で、従業員50人未満の事業所では12万人の雇用が失われた。これは2020年5月以来の急激な減少である。一方、大企業では3万9千人の雇用が増加した。
- 賃金上昇率は引き続き鈍化しており、現職者の年間賃金上昇率は4.4%(10月の4.5%から低下)、転職者は6.3%(6.7%から低下)であった
- 財生産部門はパンデミック以降で最大の損失を被り、1万9000人の雇用が減少した。製造業(-1万8000人)と建設業(-9000人)が減少を主導した。
- サービス部門も縮小し、13,000人の雇用が失われた。専門・ビジネスサービス(-26,000人)と情報(-20,000人)が顕著な減少を示した
ADPチーフエコノミストのネラ・リチャードソン博士は、雇用主が慎重な消費者と不透明な見通しに対処する中で、雇用状況は不安定だと述べた。これは大企業と中小企業の差に明確に表れている。
大企業は約3万9千人の雇用を増加させたが、中小企業は大幅に後退し約4万6千人の雇用を削減。中堅企業もさらに7万4千人を削減した。利益率の悪化がまず中小企業を直撃している一方、大企業にはまだ雇用拡大の余地があるようだ。
業種別データも 明るい材料にはならなかった 。製造業は再び減少し、建設業は例年の第4四半期の増加傾向にもかかわらず鈍化し、情報サービス業は急激な落ち込みを見せた。教育・医療サービス業とレジャー・宿泊業だけがわずかな強さを見せたが、その伸びも控えめなものだった。
賃金上昇率も鈍化し、労働市場が緩みつつある印象を強めている。
市場の反応
米ドル対主要通貨:5分足

主要通貨対米ドルチャート(TradingView提供)
米ドルはADP発表前から既に弱気傾向にあり、トレーダーが失望的なデータを想定したポジションを取っていたことを示唆している。
ADPが3万2000人の雇用減少(予想の1万5000人増を大幅に下回る)を確認すると、ドルは下落幅を拡大したが、同時に即座に強気の反発も見られた。これは米国市場開始時およびISMサービス業PMI発表前の利益確定売りが背景にある可能性がある。
ISMサービス業PMIが予想をわずかに上回る52.6となった後も、売り圧力は持続した。市場は雇用市場の弱さにのみ注目し、サービス業報告の混合信号を無視したようだ。ドル指数はこのセッションで約0.45%下落し、9月以来の最悪の単日パフォーマンスを記録した。
終値時点で米ドルは主要通貨ペア全てで下落した。英ポンド、豪ドル、ニュージーランドドルといった「リスク通貨」に対しては最も大きな下落幅を記録し、カナダドル、ユーロ、スイスフランに対しては下落幅が限定的だった。
ドル安が全面的に広がったことは、市場がADPデータをFRBの金融緩和への道筋を明確にしたと完全に解釈したことを示している。フェッドファンド先物は現在、12月の利下げ確率を90%超と織り込んでおり、わずか2週間前の約25%から大幅に上昇した。
11月の非農業部門雇用者数統計の発表が12月16日(FRBの12月17-18日会合後)に延期されたため、ADP統計は金利予想形成において格段に重要な意味を持つこととなった。